洛友会東北支部の思い出
井上 茂(昭48年卒)
早いもので私が洛友会東北支部に入りもうすぐ三十年が経とうかとしております。もともと東京出身の私ですが、東京に戻るのが嫌で、仙台に本社のある東北電力に就職したのが、東北支部との縁の始まりでした。当時、東北電力への新人は十八年ぶりで、早速、先輩から声がかかり六月の支部総会に出席しました。同窓会というと、先輩・後輩が肩を組み乱れ飲む宴会を想像していたのですが、洋食のテーブルで、当時の支部長であった平井寛一郎東北電力会長の取り仕切りの下に、本部派遣の田中先生の学校状況報告、学術講演、そして懇談が、厳粛な雰囲気の下で行われたのに面食らったのを覚えております。しかし、新入社員にとって雲の上の人である自社の会長の話を近しく聞け、また声もかけていただいたことで、洛友会員であることに感謝したのを憶えております。
その後、支部幹事を務める機会が多くありますが、近藤先生、大谷先生、上之園先生など、学生時代には恐れ多く口も聞けなかった先生方と、若いうちから直接にお話が出来る機会を数多く持てたのは、役得だったと思っております。
東北支部の会員は、東北電力関係者、東北大学を中心とした大学関係者、官庁や旧公社系企業などの異動で東北に来る方、東北の企業の方に大きく分けられます。しかし残念ながら、本来牽引役となるべき東北電力については、私の後は11年後、十六年後に二人が入社しているだけで、現在は現役三名となり、東北大学についても大家寛先生に続いて伊藤貴康先生が退官されるなど変化がでております。最近の支部総会については、出席者が固定化してきていますが、その分、大家支部長の工夫で、話題を企画し盛り上げているところです。東北支部会員数の伸び悩みには、東京方面への一極集中化がさらに進んでいること、東北へのIT関連企業進出が少ないこと、製造業の空洞化など、厳しい現実が裏にあるのかもしれません。
私の入学時(昭和四十四年)京都大学工学部電気系教室への東北地方からの入学者は山形県からの一名でしたが、高校生の息子に聞くと最近は京都大学を志望する者も結構いるし、工学部の人気も高いとのこと。若い会員を心待ちにし、東北支部を維持発展させたいと願っております。
|