白銀の峰々と迫力の氷河、
 そして麓に広がる牧草地
 ─スイス(U) 
洛友会会報 204号


白銀の峰々と迫力の氷河、そして麓に広がる牧草地─スイス(U)                                   
1998・8・30〜9・8
柴田研司(平4年卒)

 5日目(9月3日)残念ながら、朝から雨が降っている。ツエルマットからテッシュまで電車、その後バスに乗り換えインターラーケンに向かう。途中、ゴッペンスタインからカンデルシュテークまでカートレインに乗車。まるで、貨物になった気分である。
 インターラーケンに着いたころ、すっかり空も晴れユングフラウも見えてくる。爽やかな気分にひたる。メインストリートを散策した後、昼食をとりグリンデルワルトヘ向かう。
 『サンスターホテル』にチェックインした後、散策する。現地の元気な子供達に出会いいっそう楽しい気分になる。土産もの店が並ぶメインストリートは、多くの観光客で賑わっている。
夕食はスイスの郷土料理、ミートフォンデュ。サイコロ状の牛肉を串にさして揚げソースや薬味をつけて食べる料理だが、予想以上にさっぱりしていて食べやすい。ソースと薬味もそれぞれおいしくて感激する。
 その後、ホテルの部屋のベランダで黄昏時にお楽しみ・・・目の前にそびえるアイガー、メンヒ、ユングフラウを眺めながらスイスワインを飲み、チーズをつまむ。スイスを満喫しているという充実感に包まれることこの上ない。
やがて、空が暗くなり山々が黒い塊となって闇に消える。なんて時間がゆっくり流れるのだろう・・・。
 6日目(9月4日)早朝、本当にさわやかな目覚めだ。空は快晴、それも雲ひとつない。大感激。ベランダに出て山々を眺める。まさしく太陽が昇ろうとしている時・・・朝焼けに染まるグリンデルワルトの空、清々しい空気、目の前に広がる牧草地と徐々に明るくなっていく山々の景色。気持ちは高まっていくばかりだ。ユングラフラウ山項のリアルタイム映像をテレビで見ることができ、そちらもすばらしい。すっかり景色に見とれてしまった。
 朝食を終え、ユングフラウヨッホに出発。標高3,454mのヨーロッパで一番高い駅まで登山鉄道で行く。途中のクライネ・シャイデックまでは滝や谷底、三山のパノラマが楽しめるが、ここで鉄道を乗り換えてからは全長7,122mのトンネルに入る。途中ふたつの駅でそれぞれ5分停車して、外の景色を見ることができる。ガラス窓越しに氷雪を見て麓との違いに驚く。目の前に横たわる巨大な氷河はすごい迫力だ。
 終点のユングラヨッホ駅は地下駅になっていて、下車すると同時に冷気に包まれる。「スフィンクス展望台」のテラスからはまばゆい銀世界が広がっている。バルコニーにも出てみる。快晴の空と自銀の雪原、さんさんと降り注ぐ太陽の光、外は意外にも暑い。天候に恵まれたことに感謝せずにはいられない気持ちになる。
 「氷の宮殿」「プラトー展望台」予想以上に広くて驚く。踏み固められた雪原を少し歩いてみる。有名な(?)日本向け専用の「赤いポスト」から自分たち宛に葉書を出した。これも貴重な記念品だ。
 帰りはアイガーグレッチヤー駅で下車し、クラィネ.シャィデックまでハイキングする。あちこちで牛がカウベルを鳴らし草を食べている。のどかな風景が広がる。目の前には氷河。眺めの良いところで手作りサンドイッチを食べる。雄大な景色の中で昼食は格別だ。デザートのりんごもとてもおいしい。
と、その時「バリバリバリッ」と雷のような勇ましい音が響いた。氷河が崩れ落ちる音だ。目の前で起こる自然界の大迫力に圧倒される。
 行き違う人々と挨拶を交わしながら楽しく歩くが、途中から雲行きが怪しくなってくる。山の天気は変わりやすい。さっきまであんなに晴れていたのに…。振り返ると山々の項上は雲に覆われてしまっていた。しかし運良く雨に降られることもなく、クライネ・シャイデツクに到着したころには、また青空が広がっていた。
 クライネ.シャデックからのベルナー・オーラント三山の眺めもまたすばらしく多くの観光客で賑わっている。アルペンホルンを抱えたお兄さんを見つけ、近づいていくと演奏してくれた。スイスらしい柔らかく優しい音が響きわたる。本場でアルペンホルンの生演奏を聞けるなんて感激である。もう少しハイキングを楽しもうかとも思ったが、空模様も心配だったので列車でグリンデルワルトまで戻ることにした。
 夕食はぜひ食べてみたかったラクレットに決定。昨日に引き続きスイス料理である。メインストリート沿いの可愛い雰囲気のレストランで食する。
 夕暮れ時はやはりホテルにベランダから景色を眺める。明日はこの景色ともお別れである。
 7日目(9月5日)目覚めると外は雨。雨に濡れるスイスの景色も美しくて個人的には好きなのだが、やはり残念だ。
 グリンデルワルトからバスでインターラーケンを経由してブリェンツに向かう。木彫りで有名な湖畔の静かな町。人気のロートホルン鉄道に乗る。スイスで唯一定期運行している赤い車体がかわいい蒸気機関車だ。楽しみにしていたのに雨のため、視界ゼロである。頂上(2,244m)は寒く、霧がかかっている。約1時間後、下りる。そのころになるとようやく空が明るくなってきて、SLの窓からブリエンツ湖を見ることができた。ブルーエメラルドグリーンのなんとも言えない美しさだ。
 昼食を湖畔のレストランで食べ、バスで移動。右手にトゥーン湖を見ながらスイスの首都・ベルンを経由しレマン湖へ。バイロンの叙情詩『シヨンの囚人』で有名なシヨン城に到着。フランスの山々をバックに、湖に突き出た岩場の上に建てられていて、遠くからだとまるで湖に浮かんでいるように見える城だ。レマン湖沿いを少し歩いてみる。曇り空が気になるが、心地良い。
 再びバスに乗りマルティニを経由し国境を超え、フランスのシャモニーへ入る。アルプスの名峰モンブラン(4,807m)の麓の町である。山々の懐深く抱かれた町だからか、今まで見てきたスイスの町並みと比べ華やかさに欠ける気がするが・・・とにかく明日の『エギーユ・デュ・ミディ』が楽しみである。『ホテルダザグロン』に宿泊。
 8日目(9月6日)朝、目覚めると真っ先にベランダから空を見上げる。快晴!嬉しい。
 朝食の後すぐにロープウェィ乗場に向かう。昨夜、山頂は雪が降ったそうで早朝からロープウェイはストップしていたらしい。乗場は多くの観光客で混雑している。シャモニー(1,037m)からプラン・ド.レギーユ(2,308m)まで8分、乗り換えてエギーユ.デュ・ミディ(3,842m)まで10分、驚きの速さである。ほとんど垂直に引っ張り上げられるような感じで、あっという間に到着。
 頂上テラスヘ行く。この一番高い展望台からの眺めが素晴らしい。360度大パノラマが広がる。快晴の青空、一面白銀の世界、くっきりと見える4,000o級の峰々、ヨーロッパ大陸の最高峰モンブラン(4,807m)が手の届きそうな近さに思える。エギーユ・デュ・グーテもグランド・ジョラスもすべて見え、大感動だ。空気と風の冷たさも太陽の眩しさも大パノラマの一部となり、心の奥底に刻み込まれた。
 ロープウェイでシヤモニーまで降り、レストランで昼食をとった後、町の散策をする。日曜日ということもあって閉まっている店も多いが、広場で憩いでいる人達や教会などの建物、そして氷河が溶けて流れてくる川のながれを見ながら歩くのもまたいいものだ。
 少しのんびりした後ジュネーブに向かう。バスで国境を超え、スイスヘ。ジュネーブは今まで旅してきたスイスのイメージと決して重ならない都市。都会的である。国連機関の建物や宗教改革記念碑、花時計、サン・ピエール大聖堂などを見る。花時計のあるイギリス公園は、多くの人で賑わっている。私達も心地良い涼しい風に頬を撫でられながらレマン湖畔を散歩した。ブルーの湖面に白いヨットが何隻も出ている。対岸のフランス側には午前中に近くで見てきた山々が雄大なパノラマを見せている。夏の風物詩である大噴水も絶好調!青と自と緑のコントラストが見事だ。
 ジュネーブの黄昏時の町並みを見ながら夕食を食べ、シャモニーに戻る。いよいよ旅行も最終である。
 9日目(9月7日)・10日目(9月8日)シャモニーからジュネーブ空港へ。国内線で約1時間、チューリッヒヘ到着。スイス航空SRー162便(13時10分発)で日本へ。
 翌朝、素敵な思い出と共に関西空港に到着。旅で出会ったすべてのものに感謝、感謝。

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