万博とリニモ
洛友会会報 207号

 

万博とリニモ

林 靖人(昭和42年卒)

 「愛・地球博」「愛知万博」などと呼ばれています、2005年日本国際博覧会。3月25日から半年間開催されますが、国内においてもまだまだ知名度が低いようでありますが、工事の方は着々と進んでいます。この原稿は11月下旬に書いていますが、会報が届く1月には最後の仕上げに入り、開幕が今か今かと待たれている頃かと思います。さて、ここではマスコミでもほとんど報道されていない事柄も折り交ぜて紹介します。
 この博覧会会場一帯は名古屋市の東部に隣接した丘陵地帯で保安林と言うこともあって緑豊かで、愛・地球博という愛称がピッタリの所です。当初の会場となる予定地の近くには、絶滅に近いイヌワシの営巣地が有るということで、動物保護団体などの反対により、二つの近接する会場での開催となりました。メイン会場は長久手町(秀吉・家康の小牧・長久手の戦場となった所)にあります。
 工事の進捗状況ですが10月に入ってまさに雨後の竹の子の如く、日ごとに一棟二棟と外観を現わし始め、いよいよ開幕が近づいて来たとの感がします。これに比例して会場内の警備が厳しくなり、万博協会の許可証が無ければ会場内に入れず、また全ての車両は入場二日前までに承認を得ないと入場出来ない状況になっています。夜間には協会のパトカーが巡回しています。11月に入りますと外国館展示用の建物が各国に引渡され、内装・展示の関係者か外国人もめっきり増えるにつれ、テロを警戒してか、警備も一段と厳しくなってきました。また最近では一部でライトアップ調整も始まり、帰宅路を楽しませてくれます。
 さて、ここでクイズです。建物の外観が現れはじめた事には触れましたが、この中の一パビリオン。始めの頃は他の建物と変わりないように見受けましたが、途中から一気に正面となる壁面の工事を進め、「○○館」と早々に表示を始めました。企業イメージとしてPRが上手とも思えない企業ですので驚いています。さて、この企業はどこでしょうか。誰もが知っている日本を代表する企業です。
 ここで皇太子殿下の話です。博覧会協会の名誉会長であられますが、既に二回来訪され、工事の進捗状況を視察されています。その折、博覧会のマスコットキャラクターであるモリゾーとキッコロが愛子様のお気に入りと話されたとのことで、急遽、協会がこのマスコットの縫ぐるみをお届けしたと聞いています。万博が成功裏に終わることを、期待してやみません。
 この会場周辺は、名古屋市に近いこと、自然環境に恵まれていること、また「あいち学術研究開発ゾーン」とも位置付けられ、注目されていますが、鉄道系高速大量輸送機関が無く、バス、車輸送に頼っていますので交通渋滞が著しい地域であります。この状態を解消すべく計画されているのが第三セクターの愛知高速交通東部丘陵線(愛称リニモ)であります。リニモは名古屋市地下鉄東端の藤が丘駅と愛知県東部を南北に走る愛知環状鉄道の八草駅を結ぶ十キロ弱の路線であります。リニモは常電導磁気吸引浮上・リニアインダクションモータ推進方式を採用した「日本初」の実用化路線であり、運転士無しの自動運転を目指しています。浮上して走行するため、振動や走行音も低く、快適な乗り心地で、沿線環境にもやさしい乗り物です。また、浮上して走行するため摩耗部分がなく、車両やレールとも保守の手間が低減します。世界に先駆けての実用化となることから、「先端的産業技術の中枢」「交流・創造の拠点」を目指す名古屋東部丘陵地域にふさわしい交通機関であります。また、2005年に開催されます日本国際博覧会会場への鉄道系の輸送手段として位置づけられていて、メインゲートの入口に駅が出来ます。ただし、万博目標の輸送手段ではないので、輸送能力が低く、地下鉄などからの乗り換えで滞留が出ることが懸念されています。12月に入ると本格的な試験走行がはじまります。3月初旬に開業するとのことでありますが、一日も早く開業することが期待されています。
    

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