関西支部では恒例の家族見学会を10月30日(土)に開催しました。本年は、愛知県まで足を伸ばし、犬山城と明治村を訪れる、歴史を楽しむ旅となりました。あいにくの天候でしたが、三木支部長を始め総勢105名がバス4台を連ねる、盛大な見学会となりました。
一行は、大阪と京都を出発し名神高速道路を東進、養老サービスエリアで合流し、最初の目的地の犬山城へと向いました。犬山城は白帝城ともいわれ、尾張徳川家付家老の成瀬氏の居城であった城で、現存するわが国最古の天守閣があり国宝に指定されています。本年4月に、成瀬家から(財)犬山城白帝文庫に移管され、これまで非公開であった成瀬家秘蔵の文物が公開されるようになりました。その関係で、ちょうど秋の特別展「犬山城主成瀬家と犬山の文化財」が近くの犬山市文化史料館で開催されていました。
犬山城の天守閣は木曽川南岸標高約40メートルの崖の上にそびえており、老若男女ほとんどの方が元気に急坂と天守閣の梯子段を登りきって、木曽川や犬山市外の絶景を楽しみました。また城内や文化史料館では、成瀬家伝来の甲冑や刀剣、長篠の合戦図屏風に代表される書画などの文物が公開され、戦国時代から江戸時代の様子に想いを馳せることができました。また、文化史料館別館のからくり展示館では、祭りの車山(やま)のからくり人形や、祭りに関する資料などが展示されており、参加者の興趣をそそっていました。
犬山城の見学でお腹をすかせた後は、犬山城の足元にある名鉄犬山ホテルで昼食です。瀟洒なホテルの広間に参加者全員が一堂に会し、三木支部長の挨拶の後、飛騨牛など当地の素材を用いた会席料理に舌鼓をうち、なごやかに相互親睦を図りました。
午後は、博物館明治村を訪れました。明治村は、入鹿池湖畔の美しい景観の中に、明治から昭和初期に建てられた建造物を、日本全国はもとより、遠くシアトル、ハワイ、ブラジルから移築し保存しています。その中には、呉服座(芝居小屋)、聖ヨハネ教会堂、西郷從道邸、三重県庁舎など国の重要文化財10件と愛知県の有形文化財1件が含まれています。それぞれの建物では、室内に家具調度などを陳列して往時の様子を再現するとともに、関連する資料などを展示しています。また村内では日本で最初に開通した路面電車「京都市電」や明治時代の蒸気機関車を走らせ、入場者の交通機関としても利用されています。
毎年9月に富山県八尾町で行われる、越中八尾のおわら踊り「風の盆」が、ちょうどこの日に村内で再演されましたが、降雨のため屋外行事が中止となり見学できなかったことが非常に残念でした。一方で、11月1日の灯台記念日にちなんで、現存する最古の洋式灯台である重要文化財の品川燈台が特別公開されていました。
参加者の方々は、広い村内の隅々まで、それぞれの興味に沿って建物や展示物を熱心に見学したり、古き時代の風景を楽しみながら散策をしたりして、明治村のひとときを堪能されていました。特に、年配の方々が、幼少のころの記憶がよみがえるのか、懐かしげにされているのが印象的でした。
明治村に別れをつげた後、戦国時代・江戸時代から明治・大正・昭和にいたる歴史的文物の余韻や昔日への想いにひたりながら、帰途につきました。
法田 雅彦(昭52年卒)
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