平成17年度卒業生の進学就職状況について(報告)
電気工学専攻長 小林哲生
電子工学専攻長 石川順三
通信情報システム専攻長 吉田 進
電気電子工学科長 橘 邦英
電気系教室への企業からの求人依頼は、まだ多少不況を抜けきれなかった平成17年度においても四百数十社からありました。この要因としては、洛友会の先輩諸兄が社会で幅広く活躍されていることも大きく影響しておりますが、電気系教室においても、学部・専攻において幅広い電気関係の知識が取得できるようカリキュラムを整え教育していることも認識されてきているものと思われます。電気系教室を卒業する学生に対する求人は、電気関連企業はもちろんですが、他分野の企業からも求人が増えてきています。それは、エレクトロニクスがあらゆる分野において産業基盤技術となってきており、電気電子の知識を持った卒業生が広く他の分野からも求められてれきている理由であると考えられます。しかし、電気電子工学科の入学定員は130名と限られており、このような社会の要請に十分応えられないのは残念なことです。
電気電子工学専攻を例にとって、平成17年度の就職指導の方法を紹介致します。例年と同様に、前年度の1月〜2月期に学生への最初の就職説明会を開催し、その後学生に対して進路アンケートを3回にわたって実施し、5月初旬に全学生に対して面接を行って就職希望先を絞るという比較的きめの細かい指導を行いました。学校推薦を希望する学生に対しては、最終的に推薦枠に納まるよう十分時間をかけて指導を行いました。最終的には一企業への集中はそれほど起こりませんでしたが、一部の企業では調整が必要でした。学生の就職方法としては、学校推薦と自由応募を選ぶことができますが、電気電子工学専攻では従来通り学生に対しても企業に対しても学校推薦と自由応募の何れかを選択してもらう方式で進めました。平成17年度も大多数の企業が学校推薦を希望してこられましたが、一部の企業では自由応募のみというところもありました。学生も学校推薦を希望する者が多く、約8割が学校推薦で就職を決めました。自由応募の学生は2割程度ですが、その中には5月中旬の推薦時期には応募を締め切ってしまう鉄道関係、放送関係なども含まれていますので、実質的に自由応募で就職する学生数は、1強割程度でした。就職先としては、全般的にみると電気関係、通信関係、電力関係、機械・自動車関係などに例年と同様ほぼ一様に分散した状況でしたが、平成17年度の特徴としては、多少自動車関係への希望が多かったことでしょうか。これはマスコミによる企業業績報道が影響しているように思われます。
情報学研究科では、企業毎の学校推薦枠を特に設けていませんので、関西の一部の企業に学生が集中する傾向が見られました。これも平成17年度だけのことではありません。なお、傾向としては、多数の電機メーカーがマッチング面接とか称する自由応募と学校推薦制を企業側の論理で都合良く組み合わせた制度を導入してきたことが挙げられます。就職先企業については例年とほとんど変わっていません。
博士課程に進学する学生の数は依然として少ないのが現状です。21世紀COE科学研究費をこの数年間博士課程学生に支援しているにも拘わらず、それほど博士への進学率が増えていいません。増えない理由の一つとして、日本の電気関係の企業がそれほど博士課程を修了した学生を求めておらす、博士課程修了学生に対する待遇がそれほど良くないことが影響しているように感じられます。ぜひ、博士課程修了学生が就職したときの待遇を良くして戴くことをお願いできればと思います。
次に、学部学生の進学就職状況について説明致します。大学院修士課程の入学定員が増えたことにより、約85%の学生が進学することになりました。そのため、卒業研究で研究室に配属された学生はほとんどが進学希望であり、夏休み初めの入試までの期間大学院の受験準備にほぼ専念する状況になっています。これが良いことか悪いことかは何とも言えませんが、良いという方からは、このとき初めて学部の授業の復習ができて身に付くことができるという意見があります。一方悪いという方からの意見は、1年間の卒業研究期間があるにも拘わらず前期は卒業研究に身が入らない状態がつづき、結局卒業研究を半年という不十分な短い期間で仕上げることになってしまうというものです。また、平成17年度では、大学院修士課程の入学枠が比較的多かったこともあり、8月の大学院入試後に就職する学部学生の数は例年に比べると少ないという特徴がありました。
電気系教室では、電気電子工学専攻が桂キャンパスに移転してから約2年経過し、ようやく落ち着いて研究ができる環境になってきました。移転直後は、福祉などにおいて条件の悪い環境で研究をつづけていましたので、電気電子工学専攻に進む学生が少なくなるのではないかとの懸念もありましたが、最近は桂キャンパスも住みやすくなり、このような懸念もなくなってきました。平成17年度は、修士課程の2年間をフルに桂キャンパスにおいて研究を続けた学生が始めて就職活動を行った年度でした。
今後も、電気系教室の卒業生の就職に対して、洛友会の会員諸兄の絶大なるご支援をお願いしたいと思います。
|