関西支部家族見学会報告
関西支部では恒例の家族見学会を10月15日(日)に開催しました。本年は、京大生存圏研究所MUレーダーと信楽焼窯元、そしてサントリー山崎蒸溜所を訪れる「科学と芸術・美酒を楽しむ」企画でした。澄みわたる青空のもと、市原支部長を始め総勢88名が大型バス2台を連ねる見学会となりました。
京都駅を出発、名神を東進し滋賀県信楽に到着した一行は、大型バスを降り、1キロあまりの林道を徒歩と小型バスのグループに分かれて、最初の目的地のMUレーダー観測所に向かいました。徒歩のグループは信楽の里山で爽快なハイキング気分を味わいました。MUレーダーは世界最高性能、アジア域最大の京大生存圏研究所大気観測レーダーで、気象から超高層にいたる地球大気変動の解明に貢献しています。直径103mのレーダー面の円内には約500本のVHF帯直交八木アンテナが並べられ、超多チャンネルデジタル受信機による大気微細構造の観測が可能となっています。研究員の方々から観測施設の説明を受け、深尾昌一郎先生からは、MUレーダーの様々な観測成果と今後の可能性について興味深い講義がありました。参加者とは、地球環境問題など、熱心な質疑応答が交わされました。
壮大な観測施設の見学と林道の往復でお腹をすかせた後は、信楽焼窯元「澤善」で昼食です。参加者全員が一堂に会し、市原支部長と代表幹事の木村先生の挨拶のなか、秋の味覚に舌鼓を打ちながら相互の親睦を図りました。また、食後は思い思いに信楽焼の鑑賞とショッピングの一時を楽しみました。
信楽の里を後にした一行は、一路、京都府大山崎に向かいました。大山崎は、平野と盆地に挟まれた独特の地形が名水と湿潤な気候を生み、「ウイスキーづくりの理想郷」と呼ばれる地です。そこにサントリー山崎蒸溜所は位置し、わが国初のウイスキーを生み出しました。われわれはグループに分かれ、蒸溜所内の設備とモルトウイスキーができるまでの工程をガイドの案内で見学しました。独特の香りが立ち込める蒸溜工程では、巨大な蒸溜釜が並ぶ光景が圧巻。また、自然の気候のままに置かれた原酒樽の貯蔵庫では、山崎の地が名酒を育む姿を感じるとることができます。見学ツアーの後は、お楽しみの試飲です。今回は特別の取り計らいで、シングルモルトウイスキー「山崎」18年ものを味わうことができました。しかも、数々のコンテストで優勝し、のちにNHKの番組に出演されたチーフブレンダー輿水精一氏の貴重なお話も伺うことができました。数百種の原酒から極上の一品をつくりあげるこだわりに、一同感服するばかりでした。
何よりの好天に恵まれた秋の一日、二人の「プロフェッショナル」との出会いを思い出に、心地よい酔いを感じながら、帰途につきました。
最後に、見学の受入れとご丁寧な説明をいただきました、深尾先生を始めとするMUレーダー観測所の方々に、心より御礼申し上げます。
吉川典雄(昭和57年卒) 記
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