巻頭言

洛友会会報 216号


洛友会活動の改革:東京支部のさらなる取組み

東京支部支部長 
松本慎二(昭40年卒)

 ここ数年、洛友会は大きな変革の過程にあります。洛友会本部はもちろんのこと各地方支部においてもさまざまな対応がなされています。最近の洛友会報には洛友会の改革に関連するご意見や、取組み状況の報告などが多く掲載されています。洛友会東京支部からも、平成17年4月号で馬場征彦東京支部長(当時)が「東京支部における現状と課題について」と題して改善に向けての取り組むべき方向と実行の決意を語り、それをフォローした具体的実施内容を、平成18年4月号において後任の古濱洋治東京支部長(当時)が「東京支部の改革進捗状況」と題して報告しております。本稿では2代の支部長が敷いた改革路線のその後の実行状況とさらなる発展への取組みについて紹介させていただきます。

ここであらためて東京支部における問題点をまとめておきます。その第一は「財政問題」、第二は「若手会員の洛友会への参画意識と会費納入率の向上」です。(平成17年時点では、個人情報保護法の施行と関連して、名簿発行問題と、名簿に掲載する広告募集も大きな問題点ではありましたが、これらについては洛友会本部に設置された「洛友会改革WG」で精力的に検討された結果、名簿発行を18年度まで延期すること、広告募集の停止、などの方針が打ち出されました。現在はその方針にそって名簿発行の準備が推進されていますので、ここではふれないことにします)

第一の問題点である財政問題では支出面と収入面の双方からの取組みが必要ですが、まず支出面で実施した対策から説明します。東京支部では17年度と18年度の2年度にわたり、受益者負担の原則(幹事会などの食事費の出席者負担、会場費の支部負担など)および聖域なき諸支出の削減(趣味の会、拡大クラス会の活動支援金の削減、喜寿米寿の慶事費用の削減、支部総会会場変更やパーティ内容の見直しなどによる支部総会費用の削減など)により支部会費の範囲内で支部運営ができるよう改革しました。一方、収入増、特に会費納入率の改善については若手会員の洛友会への参画意識の向上と密接に関連していますので、第二の問題点である「若手会員の洛友会への参画意識(と会費納付率)の向上」についての取組みと合わせて紹介します。

会費納付率は、洛友会本部のデータ(洛友会報平成18年4月号「事務局だより」参照)によれば昭和40年前後の卒業生以降急速に低下しております。従って、この年次以降の会員にとって魅力的で、参画したくなるような活動、その結果、会費を納付する価値があると感じてもらえる活動を洛友会が企画実行することが重要だと思います。そこで東京支部では二つの企画を推進しております。一つは「若手幹事会」の開催であり、いま一つは若手に魅力を感じてもらえる講演会の開催です。

平成16年度から、支部長より卒業年次(平成16年度では昭和37年卒業)の若い会員を「若手会員」と呼び、これらの若手会員の洛友会へ関心の向上と活動参画への働きかけを強化しています。その具体案を検討し核となって活動してもらうための意見交換の場として、「若手幹事会」を発足させ、これまで4回開催しました。この会合は洛友会支部活動に若手会員の興味を惹きつけるにはどのようにすればいいのかということについて意見交換するブレーンストーミングで、問題の所在についての認識を確かめあったり、参画促進のアイデアを出し合ったりすることから始めました。現在では、学年幹事あるいは各卒業年次の核人材を中心にその年次の卒業生が連絡を取り合い、様々な行事への参画を誘い合い、その機会に年次ミニ同窓会開催を勧奨することが有効であることが明確になってきております。そこで、企業内の洛友会メンバーなどの協力を得て、学年幹事不在の卒業年次の学年幹事の選定を進め、現在では卒業後間もない数年次を除いた全ての年次の学年幹事が指名されました。そして、卒業年次毎に学年幹事を中心とした電子メール連絡網が確立されつつあります。また、学年幹事同士の連絡のための電子メール連絡網も充実し、洛友会支部活動行事の連絡などは、支部幹事からの全支部会員への連絡(はがきや電子メールによる)だけでなく、親しみのある同期の学年幹事からも個人ベースで知らせ、あるいは参加促進を呼びかけています。(もちろん、従来のように、企業内に洛友会組織がある企業では平行して、これらの情報を流しているところもあります。)

もう一つの企画は講演会の開催です。平成16年度以前も総会の機会に講演会を開催していましたが、それに加えて、特に若手会員をターゲットにした講演会を始めました。平成17年秋に長尾真情報通信研究機構理事長(当時)に講師をお勤めいただき、「ユビキタスネット社会における研究開発の展望〜コミュニケーション技術の方向性〜」の演題でご講演していただきました。この講演会には若手会員を中心に幅広い卒業年次から127名の参加がありました。支部からは、講演会終了後に年次毎のミニ同窓会を開催して懇親を深めるようにお願いしましたところ、多くの年次で実行され、大変好評でした。平成18年も同様の趣旨の講演会を開催し、松本紘京大副学長から「京都大学の現状と改革」についてご講演いただき、前年とほぼ同数の119名の参加がありました。前回講演会後のアンケートで、「簡単でもいいから講演後には懇親会を開催して欲しい」、「同期だけでなく他の年次の方々とも懇親がしたい」などの意見が寄せられましたので、それに応えて、1時間ばかりの簡素な懇親会を実施しました。懇親会経費の一部を参加費の形で負担していただいたにも拘わらず、殆どの方が参加され非常ににぎやかな会となりました。会の終了後、前回同様、多くの年次でミニ同窓会へと流れて行ったようです。また、2回の講演会の受付時に、洛友会本部に代わって未納会費の納付をお願いしましたところ、殆どの方がこれに応じて納付してくださいました。その結果、17年度の支部会費納入数は前年度を僅かながら上回り、平成18年度は大幅に上回る趨勢です。

最後に、平成19年2月に開催した、4回目の若手幹事会で議論した、新しい取組みについてご紹介します。当日特別参加の若手会員から、特に若手会員に関心の高いテーマを選び少人数(30人ぐらい)の勉強会を立ち上げる提案がありました。そのために提案会員の所属組織が東京駅の近くに保有する会議室を開催場所として提供しても良いと言う提案があり、現在実行担当者を決め、テーマ選定、講師選定、実施時期、実施対象など提案の具体化に向けて取り組んでいるところです。これらの企画を、支部幹事だけで実行するのは非常に負担が大きいのですが、学年幹事や、若手のボランティアに分担してもらうことにより、参画する若手会員自身の洛友会への関心も深まり、勉強会そのものの内容次第では会員の意識に火を点けることにもつながり、大きな効果を生むのではないかと大いに期待しているところです。すでに、ITバブルがはじけた後の一時期、下火になっていた、企業内あるいは組織内の洛友会の繋がりを見直そうという動きなどもあるようです。洛友会が真に会員各々に役立つ交流の場として会員の関心を惹きつけることになれば大変嬉しいことだと思います。


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