教室だより(1)
洛友会会報 216号


平成18年度卒業生の進学就職状況について(報告)

電気工学専攻長     和田修己
電子工学専攻長     北野正雄
電気電子工学科長    佐藤 亨

 平成18年度の電気系教室卒業生の進学就職状況についてご報告致します。平成18年度の進学就職状況を纏めたものを表に示します。以下、学生の進学および就職の傾向などについて、学部入試の状況や大学院の改革などともからめて、修士課程学生と学部学生の順に、簡単に説明致します。
 電気系教室への企業からの求人依頼は、電気関連企業の好況も反映して平成17年度に引き続き本年度も若干増加の傾向でした。また電気関係以外の他分野企業からの求人も増えています。これは、洛友会の先輩諸兄はじめ諸先輩方のご活躍により、電気電子技術が広く社会全般を支えるインフラとして定着し、さらに分野を越えて様々な幅広い応用が進んでいることによると考えられます。しかしながら学部入試においては逆に、電気系学科の不人気が全国的に広がっており、必要性は高いが眼に見えない技術基盤インフラの難しさが見え始めています。電気系教室ではこのギャップを埋め、優秀な人材を育成するために、本年度から電気電子工学科教務委員会・将来構想委員会を立ち上げて、魅力ある学部カリキュラム作りや高校生等に電気系の面白さを広報する活動を行っています。
 平成18年度の就職指導の方法は、ほぼ例年と同様に行われました。電気・電子工学専攻では従来通り、学生に対しても企業に対しても学校推薦と自由応募の何れか一方を選択してもらう方式で進めました。年々、企業からの求人時期が繰り上がり、4月にはかなりの企業で採用が本格化していますが、1月末に学生への最初の就職説明会を開催し、その後3度の進路アンケートの後に5月初旬に全学生に対して面接を行い、就職希望先を絞った後に学校推薦を行いました。企業によっては学校推薦と自由応募の両方で採用を行っておられたり、学校推薦前にジョブマッチングや自由応募のプロセスで採用を内定される場合があり、推薦調整の際に若干の混乱が発生しましたが、企業に再度「自由応募採用をされる場合には推薦は出せない」旨をご説明してご理解いただきました。結果として、約3/4の学生が学校推薦により就職決定をしました。
 本年度の就職先としては、自動車関係には昨年ほどの希望集中はなく、当初は一部の関西の電気系企業に人気が集中しましたが、ガイダンスと個別面談を経て、最終的には推薦枠に納まり、全般的にみると例年通り電気関係、通信関係、電力関係、機械・自動車関係など各方面に分散する結果となりました。本年度の特徴としては、電力関係が昨年の3名から10名へ(内2名はエネルギー科学研究科より)と増えています。エネルギー科学研究科の電気系研究室からは、修士修了生15名中1名が進学、残りの約半数が電気関係メーカーへ就職しました。情報学研究科では、昨年度までみられた関西の一部企業への集中が今年度はみられませんでした。就職先としては通信関係が相変わらず多くを占めていますが、景気回復の気配を受けてか、電機メーカーへの就職が増加する傾向がみられました。情報学研究科に所属する電気系研究室からは、修士修了生の就職者33名中の13名が通信・情報関係企業への就職、14名が電気関係メーカーへの就職、4名が進学となりました。
 博士課程に進学する学生の数は依然として少ないのが現状です。その理由の一つとして、日本の電気関係の企業では博士課程を修了した学生に対する人事的評価があまり高くなく、学生には博士課程に進学してさらにキャリアアップしたいという意欲が湧きにくいことが挙げられます。一方、企業の方、特に研究開発に携わっておられる方々からは、今後の日本の電気関係分野を支えるドクターの必要性をうかがう機会が増えているように思います。我々大学関係者としても、確かに従来の徒弟制度型の教育により育成される「ピークは高くとも幅が狭く応用が利きにくい博士」では、新たな分野を開拓牽引することは難しいと認識しており、大学院の教育の幅を広げた実質化を目指しています。そのために工学研究科では、複数分野教員による指導を制度として確立し、高い専門能力と幅広い基盤を併せ持つPhD育成を目指して、平成20年度入学の修士課程学生から「博士課程前後期融合教育プログラム(5年コース)」を開始いたします。これは、修士課程進学の時点で博士課程への進学を前提として選考を行い、長期的視野で幅広い能力を持つ博士を育成するプログラムです。また、この融合教育プログラムを担い、あわせて領域融合研究を推し進める組織として、従来のイオン工学実験施設を発展的に改組して、平成19年4月に工学研究科附属「光・電子理工学教育研究センター」を設立します。諸先輩方にもいろいろとご協力をお願いすることになるかと存じますが、是非ともこの趣旨にご賛同いただき、新しい博士課程修了学生をPhDとして受け入れていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 次に、学部学生の進学就職状況について説明致します。大学院修士課程には、昨年同様、約85%の学生が進学することになりました。その中には他大学院進学者8名を含みますが、これとは別に、平成18年4月に京都大学に新設された「大学院経営管理教育部(専門職学位課程)」いわゆる「経営管理大学院」への進学者が2名います。これは、経営学修士(MBA)の学位授与を行う専門職大学院です。今後は、このような方向へ進む学生も増えるかもしれません。学部学生の就職先企業に関しては、人数は少ないものの修士課程学生とほぼ同様の傾向が見られます。
 電気系教室では、電気工学専攻と電子工学専攻が桂キャンパスに移転してから約3年半が経過し、各研究室も落ち着きを見せています。4回生の研究室配属から3年間桂キャンパスにおいて研究を続けた学生が、この春初めて巣立ってゆきます。今後も、電気系教室の卒業生の就職に対して、洛友会の会員諸兄の絶大なるご支援をお願い申し上げます。


 

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