会員寄稿(3)
洛友会会報 218号


観葉植物雑感

松本 吉永(昭57年卒・北陸支部)

 5年前にマイホームを購入した時、ハウスメーカの営業マンから新築祝いにパキラという観葉植物をもらった。小さいながら庭も作ったので、庭木や花にも興味を持ち始めた。
 妻と二人で休日、花屋に行き、気に入った観葉植物を少しづつ購入していった。パキラの次は、シェフレラ(ホンコンカポック)、花月(金のなる木)、ジャックビーンズ(通称「ジャックと豆の木」)、ディフェンバキア、ドラセラ(トリカラーレインボー)・・・など。
 その後、放任主義の我が家でも適応できる頑健な植物が生き残ることとなった。まずは、パキラであるが、水やりと緩効性の固形肥料だけで元気に育ち、大きくなり過ぎてこれまで何度か剪定をしたが、そのたび横から新しい茎が出て再び大きくなっていく。切った枝は、水に挿したり、土に挿したりして増やそうとしたが、現在土に挿したものが何とか根付いている。管理が悪いせいか成功率は20%程度である。
 次にシェフレア。これも水やりと固形の緩効性肥料だけで元気に育ち、鉢を順次大きくして植え替えした結果、大きくなり過ぎ天井まで届くようになった。下葉が取れてきたので、思い切って環状剥皮という方法で、上半分をとり木することにした。環状剥皮というのは、茎の表皮を4〜5cm剥ぎ取り、そこに水を含んだミズゴケをビニールで巻いて、根が出てきたところでその下でカットするという方法である。実際やってみて、同軸ケーブルの端末処理を連想したのは電気屋ならではの発想か。もちろん親木も元気で新しい葉が何枚も伸びてきている。ジャックビーンズもシェフレア同様、成長が著しく、天芽をカットしたが脇から数本茎が伸びてまた大きくなってしまった。どうしても下葉が落ちるので、来年の梅雨時期に環状被覆で分離手術を行う計画である。
 おもしろいのは、ディヘンバキアとドラセナ。栄養不足や寒さから下葉が削げ落ち、ドラセナに至っては、鶏のすねのような状況に陥ってしまった。何とかしなくてはと本を片手に、作業開始。葉の残っている上の部分を少し茎を付けてカット。葉は水分の蒸発を防ぐため輪ゴムでくくり、切った天芽に水ゴケを巻いて土に挿し、日陰で管理。残った茎の部分は、数センチに刻み、上下を間違えずに垂直に挿し木、または水平に土に寝かせて、発根を待った。茎にも磁石のように極性があるのかと感心した次第である。結果は、切り取った天芽は見事復活。刻んだ茎は25%程度の確率で発根、発芽が見られた。しかし、復活した茎も、現在、肥料不足からか再び「鶏の足症候群」に陥っている。
 庭木もハナミズキを実生から育てたり、ツツジやサザンカ、ムクゲを挿し木で増やしたりして、楽しんでいる。サザンカは挿し木した翌年から花を付けたのでビックリした。ムクゲも2年程度で花を付けるようになった。今後チャレンジしたいのは、接木。頑健な台木と育てたい木の枝(穂木)の表皮を剥ぎ、形成層を癒合するものである。大地側と天空側は両者の長所からその位置が決まっており、これを組み合わせることで頑健かつ美しい(おいしい実のなる)木として成長させるものである。根の出しにくい種類の木を穂木として増やすのによく用いられる方法である。
 これも半導体のPN接合などをついつい連想してしまう。PNP接合などに倣って、3種類の接木をするという発想で、もしかしたら画期的な品種が作れるかもしれない・・・?。全く別の次元の分野での成功例から、専門の仕事に役立つ発想が得られるということをよく耳にするが、私のような凡人でも、このような連想で頭の体操をすることは結構楽しいものである。
 さて、ちなみに我が家の「金のなる木」は、縁起が良い木なので少し高価な化粧鉢に植え替えた。水を与え過ぎ、過保護にしたせいか2〜3年で幹が腐って枯れてしまった。かろうじて挿し木した小さい茎から成長した1本の若芽が何とか生命を保っているところである。我が家の財政状況を暗示しているようで、これもまたおもしろい。






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