教室だより(1)
洛友会会報 223号


電気電子サマーキャンプ報告

 電気電子工学科では、最近の学生に工作体験が乏しいことを考慮し、本年度より夏休みの課外活動を支援する試みを開始した。これは同時に、本年度よりスタートした洛友会の学生会員制度における本会事業としての側面を持つ。初回となる本年度は、1回生を対象に、KESC(KUEE ElectronicsSummer Camp)と題して、北野教授、須田准教授の指導のもとで、前期試験期間が終了した7月30日から8月1日までの3日間に開催した。
 キャンプと言っても実際に宿泊するわけではなく、少人数教育用途に確保したA号館の3部屋を利用し、学生グループに解放してロボット製作とコンテストを行った。設備は、昨年度に文部科学省の理数学生応援プロジェクト「グローバルリーダーシッププログラム」の経費で整備したレゴ社のロボット製作キット「Mindstorms」10セットとPCを利用した。単位などは付与しない課外活動であるにもかかわらず学生の関心は高く、女子学生4名を含む23人が申込み、8チームを構成した。
 このキットは、レゴの特徴である自由な形状を作れることに加えて、制御装置と数種類のセンサー、アクチュエータパーツを備え、PC画面上でブロックを組み合わせる要領で簡単にプログラムを組み立てることができるなど、ロボット工作におけるハードルを極力低くし、アイディアの実現に集中できるよう配慮されている。このため世界中の小中学校から大学にわたる教育機関でさまざまな試みに利用されている。
 本キャンプでは、京大機械研究会(ロボコンなどに参加するサークル)の経験者を中心とする6名の大学院修士課程のTAが、課題設定から学生へのガイダンス、製作指導などに奔走し、行き届いたアドバイスを与えてくれた。実質わずか2日間で、8チームがそれぞれに異なるアイディアでロボットを製作し、いずれもそれなりの性能を発揮するレベルに達したことは驚きに値する。今回の課題は、1列に並べた「柿ピー」の柿とピーナッツを選り分ける、というユニークなもので、これもTAの発案による。出されたアイディアは、柿とピーナッツの高さの違いを上から押して識別するものや、回転台に載せて遠心力で分離しようとするものまで、教員の想像を超えるバラエティに富んだものであった。コンテストでは、20個の柿ピーを識別する2回のトライで40点中39点という好成績を収めたチームが優勝した(写真は製作されたロボットの一つと、表彰式の記念写真)。優秀チームには表彰状と、副賞として洛友会より図書券を贈呈した。

 実施後のアンケートでも学生の反応はたいへんよく、これに続く企画を求める声が多かった。学科の企画・広報委員会で検討し、来年度は新たに2回生向けに、PSoC(Programmable System-on-Chip)と呼ばれる1チップマイコンを用いた工作教室を開催することにした。再来年度には3回生向けにアドバンスコースを設けることも計画しており、研究室配属までの3年間にものを作る楽しみを経験させることで研究への動機づけを高めるプログラムとする予定である。

 

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