平成20年度卒業生の進学就職状況について(報告)
電気工学専攻長 萩原朋道
電子工学専攻長 川上養一
通信情報システム専攻長・
電気電子工学科長 佐藤 亨
平成20年度の電気系教室卒業生の進学就職状況についてご報告致します。平成20年度の進学就職状況を纏めたものを表に示します。以下、学生の進学および就職の傾向などについて、関連する大学院の改革なども含めて、修士課程学生、学部学生の順に簡単に説明致します。ただし、大学院については個人情報保護の問題もあり、専攻長が対応できる3専攻分に限っております。
電気系教室への企業からの求人依頼は、本年度前半時点での産業界の状況を反映して昨年度とほぼ同程度であり、電気関係以外の企業からも引き続き多数の求人をいただいています。これは、洛友会の諸先輩方のご活躍により、電気電子技術の利用が社会全体に広まりその重要性がさらに増すほか、新しい分野でのさらなる活用が強く求められていることによると考えられます。
年々、企業からの求人時期が繰り上がり、3〜4月にはかなりの企業での採用活動(面接など)が本格化していますが、電気系教室の平成20年度の就職指導のスケジュールならびに方法は、ほぼ例年と同様に行われました。電気工学専攻・電子工学専攻では1月末に学生への最初の就職説明会を開催し、学校推薦と自由応募については、従来通り、何れか一方を選択するよう指導し、この方式について企業側にも説明しました。その後3回の進路アンケートの後に4月下旬に全学生に対して面接を行い、就職希望先を絞った後に学校推薦を行いました。最終的は、約3人に2人の学生が学校推薦により就職を決定しましたが、企業によってはジョブマッチングによる採用という形をとっておられ、このことが学校推薦のあり方に影を落としかねないケースもありました。通信情報システム専攻でもスケジュールに若干の差があるものの進め方はほぼ同様で、学校推薦により就職を決定した学生の割合は60%でした。
本年度は、例年多数の学生が希望するケースの多い会社の中で、推薦枠を下回る会社が複数社現れるなど、比較的、学生の希望が分散した感があるものの、就職先の全体的傾向としては、例年通り電気関係、通信関係、電力関係、機械・自動車関係など各方面に分散する結果となりました。その中にあって、銀行・商社等を含むいわゆる文系就職の数がやや目立つのも、昨年と同じ状況と思われます。情報学研究科では、昨年度と同様に通信関係と電機関係を中心とした各社に分散する結果となりました。ただし自由応募の企業のうち1社に6名が集中し、今後学生への情報提供を強化する必要があると考えています。情報学研究科通信情報システム専攻に所属する電気系研究室からは、修士修了生の就職者35名中の9名が通信・情報関係企業への就職、18名が電気関係メーカーへの就職、2名が進学となりました。
博士課程に進学する学生の数は依然として少ないのが現状です。その理由の分析については昨年度の報告でもなされており、重複は避けますが、それらの制度面などの問題の一方で、先端技術の事業化を進めている企業の方々からは、今後の日本の電気、電子、通信分野をリードする人材として、博士課程修了者に対する高い期待を得ていることも事実です。我々大学関係者としても、研究者、技術者として自立し、広い視野と国際性を備え、新たな先端分野を開拓牽引することのできる人材を育成することが重要と認識しており、大学院の教育の幅を広げた実質化を目指しています。そのために工学研究科では、平成19年度から複数教員指導制度を導入し、「主指導教員」に加えて、博士課程進学時から2~3名の「副指導教員」を指定し、専門分野での高い知識・能力に加え、境界領域に対して広い視野をもった人材育成を行う指導を開始いたしました。また、高い専門能力と幅広い基盤を併せ持つPhDの育成を目指して、平成20年度入学の修士課程学生から「博士課程前後期融合教育プログラム(5年型)」を導入しております。これは、成績優秀で博士課程進学に高い意欲を有する学生を対象とし、4回生の研究室配属直後から博士取得を目指した長期的視野で研究に着手させものです。平成19年度に初めてこのプログラムに進んだ16名の修士課程1回生は、昨年11月に開かれた進捗状況発表会でも意欲的な取り組みと高い成果を示しました。本年度はこのプログラムの2期生にあたる合格者も決定し、軌道に乗りつつあります。数年後には、博士課程進学者数も増加し、一時的には修士課程修了の後に就職する学生の数が若干減少する形になることが予想されますが、高い柔軟性と新分野開拓力を有する博士課程修了者をより多く社会に送り出すことできるもの考えております。
次に、学部学生の進学就職状況について説明致します。大学院修士課程には、昨年同様、約96%の学生が進学することになりました。学部学生の就職先企業に関しては、人数は少ないものの修士課程学生とほぼ同様の傾向が見られますが、大学院修了者に比べると大企業集中の傾向は低いようです。
電気系教室では、電気電子工学科を中心として、基礎学力の養成に配慮したカリキュラムの見直しや、電気系の人気回復を目指した取り組みを積極的に進めております。新カリキュラムは、来年度入学の学生から適用されることになります。今後も、電気系教室の卒業生の就職に対して、洛友会の会員諸兄の絶大なるご支援をお願い申し上げます。
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