会員寄稿(5)
洛友会会報 226号


環境に優しい家作り(その4)

薗田 徹弥(昭51年卒・九州支部)

  これまで、自然エネルギー・自然素材の利用や家の構造的な特徴について述べてきました。今回、最終章として、実際に住んでみてのエコな家の効用について記述します。

・電気の使用
 OMソーラーシステムは、夏でも夜になり外気温が室内温より低くなれば、自動的に涼しい空気を部屋の中に送り込んでくれます。各部屋の床の通風口から出てくるひんやりとした風でその機能が確認できます。そのおかげで、エアコンは昨年の夏はお客様がおいでになった時に二回使っただけでしたし、この夏は一回も使わずに済みました。さすがに二階は暑く、一階での就寝になりましたが、吹き抜け天井に設置のシーリングファンの風が床からの涼しい風とあいまって、寝苦しいはずの夏を非常に心地よいものにしてくれました。
 戸建と集合住宅の場合で電気の使い方を直接比較するのは少し無理があるでしょうが、グラフにあるように、同じ家族構成での集合住宅での四年間平均と、引越し後の戸建の毎月の電気使用量を比較してみると、その効果がよく分かります。冬季は、ガスによるOMソーラーシステムの補助暖房に加えて、電気ヒーターを局所的に頻繁に使いますので、かなりの使用量になりますが、夏季に逆転現象が見られます。集合住宅では、盛夏ではコンクリートが夜に放熱しますので、エアコンの使用量がうなぎ上りになります。木造という構造体とOMソーラーシステムの働きによって、暑い夏を自然に近い形で過ごせるというのは、すばらしいことだと思います。

  OMソーラーシステムに付随して、日々の電気使用量が見えるモニターを設置していますが、そこに目標を設定しています。初期目標は約10kW時/日。これは標準家庭の使用量で、月では約300kW時になり、1kW時がおよそ20円ですので、月に約六千円の従量料金と基本料が10Aにつき約三百円、40Aで千二百円、合計約七千円強となります。
 この目標を現在は何とかクリアしていますが、そのために我が家では、まず待機電力を無くすことを心がけています。こまめにおおもとの電源を切るか、スイッチ付きのテーブルタップを利用する。冷蔵庫は弱冷蔵の設定です。一階のトイレには、自動的に蓋が開き水が流れる機能がありますが、これらは来客があったときだけ利用します。さらに分電盤においては普段使わないコンセントはスイッチを切っています。これらの活動の成果がモニターに出てくるので、やりがいがあります。
 電気使用量モニターでは、瞬間の電気使用量が現在電力という数字で表現されます。これを活用することにより、電気の契約電力を真の値に近づけることができます。我が家には、IHコンロ、電子レンジ、エアコン、電気ヒーター等の、電気を大量に消費する家電製品が数多くありますが、これらを一斉に使用することはありません。もし同時に使う場合、モニターを見ておけば、そのときの瞬間電力値が分かりますので、危ないと思ったらコントロールできます。我が家も当初60Aという結構大きな契約電力にしていましたが、モニターの数字を分析した結果、40Aへ落としました。これにより基本料金が大幅に下がりました。



・ガスの使用
 我が家ではOMソーラーシステムの床暖房機能により、太陽が出ておればその熱を取り込んで暖かいのですが、雨や曇りのとき、補助暖房としてガスを使用しますので、冬季はかなりのガスを消費します。しかし、冬季以外は同システムのお湯取り機能により、ガス使用がかなり抑えられます。グラフにあるように、我が家の集合住宅での四年間平均と現在の戸建の毎月のガス使用量を比較してみると、シャワー中心の夏季に極端に使用量が減っているのが分かります。
 引っ越して二回目の冬を迎えた昨季、補助暖房とバス・給湯を使った場合のガス使用量を毎日のようにガスメーターでチェックしました。その結果、いろいろな事が分かりました。補助暖房を使うと、一時間で室温が約1度上昇し、約0.8立方メートルのガスを消費します。ということは朝方に必要な設定温度に上げたい場合、朝の温度を予測して補助暖房のタイマー機能を使ってその数時間前にセットしておけばいいのです。やみくもにガスを消費することは必要ありません。給湯も、新たにお湯を張るよりも残り湯があればそれを使った方がガス使用量が減ります。水道管の水の温度よりも残り湯の温度の方が高いからです。

・終わりに
 これまで家作りとはなかなか縁の無かった自分ですが、この年になって家とはどうあるべきかを思いっきり勉強する機会を与えられ、幸せだと思っています。前にも述べたように、家そのものが自分たちのライフスタイルです。それも今後数十年を視野にいれて設計する必要がありました。最初から明確なテーマを設定していたわけではないのですが、家作りが進むうちに、三つのテーマが我が家にあったことに気付きました。
@自然との共生
 OMソーラーシステムを中心とした、自然をできるだけ利用した住まいづくりです。太陽熱、太陽光、雨水を利用して生活の中に生かしています。最初の夏はお客様がおいでになったとき以外は、クーラーをつけずに過ごしました。汗がだらだらと出て、本も読めない、眠れないようではそれはやせ我慢ですが、扇風機で事足りる、あるいは夜の涼しい空気をOMソーラーシステムが外から取り込んでくれて、快適に過ごせる状況だったので、クーラーは不要でした。
Aおしゃれ&シンプル
 機能性、あるいは経済性を優先して生活環境と直接関わらない部分、たとえば家の外観とかをシンプルにしたこと、内装については木造無垢をうまく生かして女性が好みそうなおしゃれなデザインに仕上げたことが上げられます。収納を全ての部屋に確保してガラクタを収め、将来的にも家の中をごちゃごちゃさせないというのも、このテーマに含まれるでしょう。一般的には収納は床面積の15%以内のようですが、我が家では20%を越えています。
B情報発信
 私のこれまでの仕事の経験を生かして、多くの情報がスムーズに発信できるように環境を整えたことです。お客様がおいでになったとき、書斎に設置のサーバーにアクセスしてリビングでいろいろなプレゼンができるようになっています。また、モデルハウスとして多くの皆様方に環境共生の家の良さを知ってもらう運動もこのテーマの範疇でしょう。今後もいろいろな場面で、自然と共生する我が家の情報を発信していきたいと思います。
(終わり)






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